あかね雲 〜生きる意味〜
不思議な世界行ったり来たり???
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棒オヤジの活躍
私は6月1日にオーストラリアで膝蓋骨骨折をして、リハビリを続ける毎日だ。
そろそろ松葉杖から杖に替えようと、薬局で杖を買ってきた。
松葉杖に比べると何とも心もとなく、思うような歩き方ができない。
仕方がない、徐々に慣れることにしよう・・・と思っている。

帰宅して杖を触っていると、女の子のワラシが訪ねてきた。

『お姉さん、杖に替わるほど良くなってきたのですね。』

そうなのよ、まだ出来ないことも多いけれど、リハビリの効果が出てきたと思うの。
ところで、今日は初めての方が一緒ね、どなたかな?

『フフ・・・やはりお姉さんのところに来たいと言っていたものです。
 お姉さんが杖に替えると言うので、どうしても行って挨拶をしたいって・・・。』

そう、嬉しいな、はじめまして。

『ワシは棒オヤジと呼ばれておる。
 姉さんの話は皆から聞いておって、やはり会いたいと思ったからな。
 長に頼んで来させてもらった。具合はどうだな?』

ありがとう、かなり良くなったのよ。
棒オヤジと呼ばれているのね、よろしく。
棒オヤジって、その姿形から呼ばれているの?

棒オヤジはとっても細くて、どこか固い印象の妖怪だ。

『それもあるけれど・・・。
 お姉さん、棒オヤジは怪我をした人間に、杖の代わりになって助けたんです。』

へぇ、そんなことがあったの。どうして杖の代わりになったのか聞かせてよ。

昔のこと、鳥目の男がいたそうだ。
鳥目とは、昼間は何ともないが、夜になると目が見えなくなることだ。
働き者の男で、秋の山にきのこなどを取りに行っていた。
男は自分が鳥目なのを知っているので、
いつも夕日が沈む前に山を下りることにしている。
しかし、その日は1日ずっと曇り空で、男は時間の感覚を失っていた。
気付いた時にはすでに薄暗くなり、いくら慣れた山道とはいえ、
男は見えにくくなる景色に不安を覚えていた。

一生懸命に走って下ったが、とうとう暗闇になってしまった。
夜空には薄い三日月があるだけで、それでなくても見えなくなる男の目には、
何も光がうつらなくなっていた。

「どうしよう・・・このまま山道を下っていたら、
 転んだり道から外れたり落ちることだってあるだろう。
 全くのてさぐりだよなぁ。せめて杖でみあれば助かるのだが・・・。」

男はつい嘆いた声を出していた。
手探りで杖の代わりになるようなものを探したが、
それらしいものが手に触れることはない。
男の心は焦りと不安でいっぱいになっていた。
大きな岩を探り当てた男は、岩にもたれかかって一休みをした。
ウトウトしかけたが、秋の夜の山は冷える。
眠っては危ないことに気付いて、身ぶるいをした。

『右をさぐれ・・・』

男の耳に、声にならない声が聞こえてきた。右をさぐれ・・・もう一度聞こえる。
男は声にしたがい、そろそろと自分の右側を探っていく。
すると何かが手に触れる。掴んでみると細くて固い1本の棒のようなものだった。
木にしては少々手触りが柔らかい、どことなく温もりも感じる。
しかし、頑丈で頼りになりそうだ。

『持って歩け。導かれるままに歩いて帰るのだ。』

また声が聞こえる。声の感じに安心感を覚えた男は、
決心をして声を信じて歩きだした。
一歩歩くごとに、棒は自然に前に進む。
いつもの男の足取りを知っているかのように、
無理のない歩き方で棒は前に前に進んで行く。
男は棒に導かれるままに、つまずくことも道を外れることもなく歩き続けた。

どれくらい歩いたか、ふと慣れた匂いが鼻に届き、
男を心配して探していた家族の声が聞こえてきた。
あぁ、村に帰ってきた・・・男はすっかり安堵した。

「良かった。心配したぞ。よく無事に帰ってこれたな。」
「あぁ。この棒のおかげだ。棒がオレを帰してくれた。」
「棒だと? どこに棒があるんだ?」
「エッ、ここにある・・・ない! いつの間にかなくなっている!」

「山の神様がお前を帰してくれたんだ。お礼を言わなくちゃな!」
「山の神様、ありがとうございます!!!」

棒オヤジはそんな声を聞きながら、何となく嬉しくてくすぐったくて、
クスクス笑っていた。

『あの時は、山の神様から褒められた。オレは人間の役に立ったぞ!』

棒オヤジの細い顔に満面の笑みが広がっている。
そうか、だから杖に替えた私のところに来てくれたのね。
私も女の子のワラシも、一緒に笑っていた。



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