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あかね雲 〜生きる意味〜
不思議な世界行ったり来たり???
たんぼとヨメナ
『姉さん、花ガラをとっておいて・・・』
「は~い!」

『姉さん、草が伸びてきた。』
「は~い。」

『姉さん、水が足りないよ。』
「はい!」

妖怪たちが花を植えるのを手伝ってくれた花壇、私が花壇の横を通りかかると声がかかる。
おかげで花はキレイに咲いている。可愛い花を付けているのもあり、妖怪たちは満足
しているようだ。私は短い時間に花ガラを取り、草をむしり水をやる。

妖怪たちの話が聞こえてくる。

「皆だけで話してないで、私にも話を聞かせてよ。」
『姉さんも話を聞きたいのか?』

「聞きたいわよ~、興味津々だもの。」
『じゃぁ、姉さんお菓子はあるか?』

うんうん、と私はお菓子を用意する。

『姉さんは、ヨメナを知っているか?』
「ヨメナ? 知らない、ごめんね、聞いたことのない名前よ。ヨメナの話なの?」

『うん、ヨメナは田圃を守っている女の子なんだ。
 土地神さんの手伝いをして、人間が田起こしで耕すところから稲を収穫するところまで
 人間たちを助けて、田圃を守る役目の女の子なんだ。』
「ヨメナも妖怪のひとりなの?」

『うん、オレたちの仲間だよ。優しいけど強い子なんだ!』
「そう、何だかとてもステキな女の子ね、それでヨメナがどうしたの?」

ちょうど田植えの季節だったらしい。
雨があがった田圃には水が満々と張っており、植えたばかりの早苗が元気に伸びていた。
若い夫婦は自分たちの田圃の田植えを終え、知り合いの田圃の田植えを手伝っている。
若い夫婦には生まれて2ヶ月ほどの女の赤ちゃんがいる。
初めての子供で、夫婦はとても大切に可愛がっている。

赤ん坊はいつもは家に居る姑が面倒を見ているのだが、その日は腰を痛めた姑を気遣って
夫婦は赤ん坊を田圃に連れてきている。籐で編み、藁を敷き詰めた籠の中に赤ん坊を寝か
せて、あぜ道に置いている。

赤ん坊は健康で、スヤスヤと気持よさそうに眠っている。
あぜ道は少し傾斜しており、傾斜の部分には草が茂っている。
籐の籠は傾斜した草の上に置かれており、籠は赤ん坊の重みで少しずつ田んぼに向かって
落ちていく。だが、誰も籠が落ちていくことに気付かない。

籠が動いていることに気付いたのは、ヨメナだった。
ヨメナは籠を押し戻そうとしたが、ヨメナの力では籠は動かない。
ヨメナは若い夫婦の所へ飛んで行き、必死に二人に声をかけた。
しかし、田植えに一生懸命の二人には、ヨメナの声は聞こえない。

寛いで楽にしている時には彼らにも聞こえるヨメナの声が、田植えに気を取られている
二人には風の音くらいにしか聞こえないものだ。
ヨメナは必死に考えて、あることを思いついた。

植えたばかりの早苗を、次々に引っこ抜いていったのだ。
田圃の水の上に早苗が散らばる。
若夫婦は何が起こったかもわからないままに、抜かれた早苗を拾って動き始めた。

そして、ヨメナの目論見通り、とうとう籠の傍まで来た。
籠を見て母親が悲鳴をあげた。父親は慌てて籠に駆け寄っていく。
籠はほとんど滑り落ちており、籠の下の方が水に浸かっている状態になっている。

慌てて抱き上げられて、赤ん坊は泣き出した。
元気な声を響かせて泣いている。
幸いなことに、赤ん坊は水に浸かってはいなかった。
浸かる寸前に、父親が籠ごと拾い上げていた。

若夫婦は、なぜ早苗が引っこ抜かれたかを知り、大声で感謝の言葉を繰り返している。
母親は泣きながらお礼を言っている。父親も手を合わせている。
ヨメナはそっと赤ん坊のほっぺをつついてみた。
赤ん坊は小さい手を振り回し、ヨメナを視て笑っている。

「アレ~、この子は笑ってるよ~。
 きっと田圃の神様が、この子を助けてくれたんだ。ありがたいなぁ~!!!」

ヨメナは
『私、神様じゃないんだけど・・・』
と言いながらも、とても嬉しそうに赤ん坊をあやしていた。



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この記事に対するコメント
ヨメナちゃん
心がポッと温かくなりましたv-238
ヨメナちゃんに萌え~
…失礼しましたw
【2007/05/16 02:46】 URL | maki #LkZag.iM [ 編集]

よかった
なみだがでちゃった。よかった。
ヨメナの最後の言葉がすごくステキ。
【2007/05/16 06:14】 URL | DECO #- [ 編集]

おはようございます
赤ちゃんが助かって本当によかったです。

私のように視えない人間達は、幾度となくこうやって妖怪達に助けられて来たのに気付いていなかったのかも知れませんね。
気付かないと、きっと妖怪達は悲しんだ事でしょうね‥。
心の中で「ごめんなさい」と言ってしまいました。
そして「助けてくれてありがとう」と。
【2007/05/16 06:44】 URL | 苺 #3/2tU3w2 [ 編集]


いつも楽しみに拝見しております。

田園を守るヨメナさん・・・いつもありがとうございます。
私が子供の頃の話です、まだ田植えも機械化されていなくて
全て自分達でしていた頃の事です。

今は亡き父、健在の母、妹弟、親子5人で、田植えの時期には田んぼに行き
小さい手に鍬を持って、田植えし易いように田んぼをならし、
苗取りそして田植えと全て親子5人でしていました。

母はいつもおにぎりとおやつのおはぎを用意していて、田んぼのあぜに5人並んで食べる事、それも楽しみの一つでもありました。

山に焚き木を作りに行く時もいつも一緒、おにぎり、おやつ持参で箸も父が
細い木で作ってくれていました。

昔の事ですが、思いだすと胸の辺りがほんわかと暖かく感じられます。
この幸せだった頃も、ヨメナさんはじめ色々な方に見守られて
いたのでしょうか・・・

改めて、ありがとうございますと申し上げたい気持ちです。

【2007/05/16 07:47】 URL | かいくん #- [ 編集]

makiさん
ヨメナちゃんに萌え~・・・てくれて、ありがとうございます(^^)
これからも応援してくださいね♪
【2007/05/16 08:08】 URL | あかね雲 #- [ 編集]

DECOさん
きっとヨメナは、ちょっぴり恥ずかしそうに笑っていたと思います。
【2007/05/16 08:09】 URL | あかね雲 #- [ 編集]

苺さん
私たちの知らないところ、気付かないところで助けられているのかもしれませんね。
私も気付いたとき、思い出したときに、感謝を伝えようと思います。
【2007/05/16 08:11】 URL | あかね雲 #- [ 編集]

かいくんさん
そうでしたか、きっとヨメナのような女の子が田圃を守っていて、かいくんさんも
どこかで感じていたのかもしれませんね。
かいくんさんのコメントは、私にも嬉しい話でした。
【2007/05/16 10:20】 URL | あかね雲 #- [ 編集]

はじめまして☆
1週間程掛けて、やっとココまで読んできましたぁ~
私には、何にも見えないし感じた事もない世界ですが、私の傍にも見えない世界の人達がいるのかなぁ~(^^)と良く考えるようになりましたぁ
ヨメナさんの一生懸命な姿が目に浮かびましたぁ(^^)

最近までうちにはお花は1つもなかったのですが、
私も春になってから
急にお花を次から次へ買い揃え、ヒマさえあれば狂ったようにお花をイジってます…
私もあかね雲さんの様に誰かに誘われているのかしら…なんて思っている所なんです(笑)
【2007/05/16 18:22】 URL | のぞみママ #T376m.a2 [ 編集]

のぞみママさん
1週間もかけて読んでくださり、ありがとうございます。
気付かずに助けられていることも、きっとあるのでしょうね。
お花を楽しみましょう(^^)
【2007/05/17 00:34】 URL | あかね雲 #- [ 編集]


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