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あかね雲 〜生きる意味〜
不思議な世界行ったり来たり???
かずらの話し
昔々のこと・・・。

かずらたち妖怪の住んでいる山の近くに、ひとつの部落があった。
部落の人間たちは素朴で信心深く、神々のことも妖怪たちのことも山も自然も、
全てを大切に、思いをかけて日々を暮らしていた。

妖怪たちも人間の心を大切にして、何かと手助けをしていた。

村人たちは病気になるとひたすら神仏に祈り、薬草を煎じて病人に飲ませていた。
妖怪たちは、人間がなかなか見つけられない薬草を運んだり、見つけやすい所に
置いたりして、病人が早く治るように助けていた。

かずらは薬草を見つけるのが得意で、仲間の妖怪たちさえ知らないような薬草も、
古い婆に聞いて覚えていたり、自分で探しては試して薬にしていた。
時には神の言葉で、薬草の在り処を教えてもらうこともあった。

ひとりの男の子がいた。
とても可愛がられていたが、ある時高熱を発し重い病になった。

『あの時は、オレたちにもどうしようもなかったな。
 長も手を尽くしたが、病はひどくなるばかりだった。
 長は、これはこの子の運命じゃろう・・と言ったものだ。』
「それで、その子はどうしたの?」

『病は治ったが、両の目が見えなくなったんだ。』

両親も男の子も嘆きはしたが、やがて長の言ったように「これも運命」と受け入れ、
日々の暮らしに明け暮れるようになった。

『でもな、目が見えなくなった男の子は、外で遊べなくなったんだ。
 心配した母親が、転んだり落ちたりしては危ないと、家の中でばかり遊ばせるようになった。
 母心から出たものだけど、男の子はだんだん沈み込んでいったんだ。』
『そうそう、オレたちもなかなか遊べなくなったな。』

心配しながら男の子の様子を視ていたかずらは、自分に何ができるだろうかと考えた。

『うん、目は見えない。でも匂いなら分かると思った。』
かずらは嬉しそうに話し出した。

かずらは、山に咲いていた藤の花を届け、男の子の手にそっと持たせた。
藤の花は甘い匂いで、男の子の鼻をくすぐる。
男の子は、藤の花の匂いを覚えていた。

「知ってる! この花を知ってる!」

男の子は喜んで、何度も何度も顔に花をつけて匂いをかいでいる。
それを視ていて、かずらもすっかり嬉しくなった。
それから毎日、かずらは匂いのある花を選んでは、男の子の元に運んだ。

それに気付いた母親は、男の子を少しずつ庭に出すようになった。
花の匂いのある所、木の匂いのある所、水の匂いのある所、土の匂いのある所。
男の子は匂いと手と足で確かめながら、いろいろなことができるようになったいった。

男の子はやがて少年となり、青年となっていった。
両目は見えないままだったが、ひとりの村人として妻をめとり子供を育て生涯を送った。

『私は見送ることができた・・・』

かずらは懐かしそうに、嬉しさを含んだ声で話してくれた。
人間と妖怪の心の通い合った話しに、私は聞き入っていた。



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この記事に対するコメント
いつも…
こんばんは。

いつも、感動させられます☆
時には、号泣したり…(^^ゞ

こうして、お話を毎回読んでると、見えないだけで 私の周りにも時々、いるのかなぁ~って思ったりしてます。

ワクワクしてきたな~っ♪♪

心温まるお話を
有難う御座います☆
【2007/04/30 02:21】 URL | ろしあん・ぶる~ #- [ 編集]


涙が止まらなくなりました。
わたしもかずらちゃんのようにありたいと
心から思いました。
「心の愛」をまた一つ知りました。
【2007/04/30 11:31】 URL | UZURA #- [ 編集]

(TーT)
 良い話ですね。(涙。)
自分に出来る事を考えるって大切な事ですよね。
それで誰かの力になれるなら、こんなにうれしい事ないですよねi-179
【2007/04/30 19:11】 URL | ririxi☆ #- [ 編集]

ろしあん・ぶる~さん
妖怪たちは、時々どこかに出没してもいるようです。
何かを感じたら、楽しんでくださいね。
いつも読んでくださり、ありがとうございます。
【2007/05/01 00:57】 URL | あかね雲 #- [ 編集]

UZURAさん
かすらの気持を受け取ってくれて、ありがとうございます。
「心の愛」かずらの伝えたかったことでしょうね。
【2007/05/01 00:58】 URL | あかね雲 #- [ 編集]

ririxiさん
ありがとうございます。
かずらの話から受け取っていただき、きっとかずらは喜ぶと思います。
かずらに伝えたいと思います。
【2007/05/01 01:00】 URL | あかね雲 #- [ 編集]


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